Let it goエルフ語訳の解説
Let it goエルフ語訳に出てくる単語とか文法とかの解説。あるいはこんな翻訳無理ゲーじゃねーかっていうぼやきとか。エルフ語とか全然知らないけどすこし興味あるって人や、ここなんでこういう訳し方してんのってツッコみたいガチな人向け。お手柔らかにお願いします。
翻訳には以下の資料を参考にした。全面的にHiswelokeに頼りまくり。文法的に自信がないところがあったらPedin EdhellenとかGateway to Sindarinとかを調べたり、あるいは勘で訳したり。
The snow glows white on the mountain tonight. Not a footprint to be seen.
I loss síla silivren erin orod. Ú-gennin rein nín.
雪が山の上でキラキラと輝く。私の足跡は見えない。
- I the 定冠詞
- loss snow 雪
- síla to shine white 白く輝く
- silivren glittering 輝く。sílaと違ってこっちは形容詞。動詞を修飾するのに形容詞が来ちゃいかんだろうけど適当な単語を見つけれんかった。っていうか雪どんだけ輝いてんだ。
- erin on the 〜の上に
- orod mountain 山
- ú- not 〜でない
- gennin → cen to see 見える(緩音変異、過去分詞)。詳細は後述。
- rein footprint 足跡
- nín my 私の
ここでちょっと長めの解説。
単語は前に来る単語によって先頭の子音が変わることがある。しかもその規則が何種類もあってややこしい。ここで起きてるのは定冠詞や否定などが前に来るときに起きる緩音変異で、cenの先頭のcがgになっている。
動詞は人称と人数と時制によって末尾が変わる。変わり方のルールは大まかに言って、aで終わる場合とそれ以外の場合の2通りがある。過去分詞は一人称単数過去形と同じ形で、cenの場合は後者のルール(最後の子音が二重になって最後にinが付く)に従ってcenninになる。
以上のように緩音変異と人称人数時制による変化が合わさってcenがgenninになる。
以降では動詞がどう変化したかの説明は書くが、どんな規則に従って変化したかは面倒なので説明しない。詳しく知りたい人は、冒頭の早見表や、Pedin Edhellenの第二〜五課などを参照のこと。ぶっちゃけルール多すぎて全然把握できてない俺。
my footprintがrein nínになるように、修飾する語は基本的に後置される。
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A kingdom of isolation, and it looks like I'm the Queen.
I aranarth en mindon, a iston im i vereth.
孤峰の王国、私が女王だと知る。
- aranarth kingdom 王国
- en of the 〜の
- mindon isolated hill 周りから隔たった丘
- a and そして
- iston → ista know 知る(一人称単数現在形)
- im I 私
- vereth → bereth queen 女王(緩音変異)
The wind is howling like this swirling storm inside.
I huil gawir sui sen alagos hwind nedh nin.
風は唸る、私の中の渦巻く嵐のように。
- huil → sûl wind 風(緩音変異、複数形)。メロディに合わせるためにわざと複数形にしてある。エルフ語の名詞は複数形になると母音が変化する。しかも単語のどの場所にあるかによっても変化が違ってくる。最後の音節(音節が一つしかない単語の場合も)のûはuiになる。
- gawir → gaw to howl 唸る(三人称複数現在形)。主語が複数形だと動詞も複数形になる。
- sui like 〜のような。辞書にはasという訳も載ってるので、好きの方のlikeではなさそう
- sen this これ
- alagos storm of wind 嵐。風以外の嵐ってなんだろう。砂嵐? 吹雪?
- hwind whirling 渦巻く。動詞ではなく形容詞。
- nedh inside 〜の中
- nin me 私。nín(私の)とは別の単語なので注意。エルフ語には母音の長さの違いやらアクセントの有無やらで別の単語になる単語が結構ある。
Couldn't keep it in; Heaven knows I tried.
Ú-chebin; iston berthannen.
保てない。私は知っている、もう挑戦した。
- chebin → heb to retain 保つ(一人称単数現在形、緩音変異)。このchは英語のchairとかではなくドイツ語のichとかの発音に近い。歌ってみると若干音節が足りない気がするが、なんか足すと今度は余りそう。
- iston 原曲に忠実にmenel ista(天は知っている)にすると歌いにくそうだったのでiston(私は知っている)にした。
- berthannen → bertha to dare 挑戦する(一人称単数過去形)。
Don't let them in.
No ú-vinnar nin.
彼らを入れるな。
- no → na to be 〜である(命令形)。命令形の動詞はみんなoで終わるからわかりやすい。
- vinnar → minna to enter 入れる(三人称複数現在形、緩音変異)
Don't let them see.
No ú-genir nin.
彼らに見せるな。
- genir → cen 見る(三人称複数現在形、緩音変異)
ここらへんのパート、最初はAvo geno hain(avo=〜するな、geno=cenの命令形緩音変異、hain=彼らを)などと訳していたが、これってむしろDon't let them seeじゃなくてDon't see themじゃねーのって気付いて結構長いこと悩んでた。
しかも辞書をよく読んだらhainはitの複数形であってhe/sheの複数形でないみたいに書いてあってモウダメダーってなった。
今の形が文法的に正しいか自信はないが、そもそもこの翻訳全体がグワーッ!
Be the good girl you always have to be.
No i hell vaer o aur na lû 'il síla.
いい子でいろ、朝から星が輝く時間まで。
- hell → sell girl 女の子(緩音変異)
- vaer → maer good (of things) 良い。of thingsですと? 物ですと? しかしこの単語しか知らんから使う。
- o from 〜から
- aur morning 朝
- na to 〜まで。be動詞のnaと全く同じ綴りだが前置詞。
- lû a time 時間。前置詞の後って緩音とは別の変化しそうな気もするなー。
- 'il → gil star 星(緩音変異)。gは緩音変異すると消える。消えたことを明示するためにアポストロフィを書くことが多い。
↑alwaysに相当する単語が辞書に無かったので、なんとかひねり出したのがこれ。朝から夜(星が輝く時間)までなので、いつでもっぽさは出ていると思う。星を複数形にしてgiliath(星空)とかにしたいけど歌いやすさ的に微妙。
Conceal, don't feel.
No thurin, ú-blado.
秘密にしろ、感じるな。
- thurin secret 秘密
- plado → plada to feel with the hand 感じる。手で感じると意味だとわざわざ辞書に明記されているし、ここのdon't feelって精神的な意味だろうし使えないなーと思いつつ、他にいい単語が見つからなかったので使った。mathaという単語もあるが、こっちも手っぽい。〜するなという言い方は正しくはavoを使うが、歌いにくそうな気がしたのでú-にした。
Don't let them know.
No ú-istar nin.
彼らに知られるな。
- istar → ista 知る(三人称複数現在形)
Well now they know.
Dan istar si.
だけど今彼らは知っている。
- dan but しかし。ん? Hiswelokeにbutって意味で載ってないですと? 今までの単語は全部これから取ってきてたのだが。butではなくagainstとな。たしかにこの用法もある。しかしPedin Edhellenの第七課にbutって意味でも載ってたので使った。
- si now 今
Let it go! Let it go!
Leithio! Leithio!
解き放て! 解き放て!
- leithio → leithia to release 解き放つ(命令形)
まだまだ先は長い。しかも訳し進めるに連れて難易度が上がってきている。グワーッ! こんなの無理ゲーじゃねーか! アバーッ! ナマリエ! [twitter:@goldarn_ring]はしめやかに爆発四散した